製缶加工品 腕の見せ所

製缶加工品です。

アングルで組まれたフレームの上に溶接されたフラットバーを削り、穴あけのご依頼です。

お世辞にも頑丈とは言えないペラペラの構造体を、いかにキレイに加工するか。

腕の見せ所です。

当然、マシニングセンターに載せて固定するだけでは全然だめです。

様々な企業秘密の工程を踏んで、モノにしていきます。

その工程を見れば、人によっては「そんなことまでするの?」となるかもしれませんし、「そんなのでいいの?」と言われるかもしれません。

職人がぞろぞろと集まって頭を突き合わせてあーでもないこーでもない

結果、良いものを職人が作り上げてくれたときは誇らしい気持ちになります。

みんなもっと見て!とすら思いますが全体を公開など出来るはずもなく・・・

もしよければ、見に来てください。

そんな製品がいつもあるわけではなんですけどね

 

奥深い部分をどう攻めるか

フライス加工といえば、多くの場合が主軸(加工の刃物)が上に付いていて

加工物(ワーク)がテーブルに固定されていることが多いです。

つまり、フライス加工といえばワーク上面の加工が圧倒的に多いわけです。

ですが当社のような町工場には上面だけではなく、側面や底面など

その時その場面で様々な場所を加工しなければならないのです。

特に難しいのが奥まった場所でとても通常工具が届かない場所です。

上面の加工のような普通の加工ではなく、刃物の側面を使った加工を肩削り

といいます。

奥まった深い場所ではこの肩削りというテクニックを使って加工します。

表紙の写真はかなり長い工具を使って加工した面です。

大人の腕くらい長い工具で削っています。

工具の長さによって面相度や輝き方に大きく違いが出てきます。

お客様の求めるものに極力近づく様、職人が日々より良い加工条件を探し、

トライを繰り返しています。

写真ではわかりませんが、触るとほとんど段差のない加工面で、

目を瞑って触ると普通のフライス面と遜色ない面相度です。

ただ肩削りのプログラムを作れば出来るものではなく、

・送り速度・回転数・チップ材質・仕上げ代・etc…….

追及するべき項目は多岐に渡るため、当社でも正解は持っていません。

その時、ワークによって全てを調整します。

超ロングな工具は高い上に使ってみないとモノになるかわかりません。

新しいものも沢山出てるけど、誰か試させてくれないかなぁ

 

 

 

ボーリング加工

先日加工した案件です。

丸パイプの内径加工ですが、いろいろと周りに溶接されているため旋盤加工できず当社に依頼を頂きました。

両端面より精密内径仕上げを実施しました。

図面上は公差が指定されていますが、実際にはオイルカラー組付け時に若干のゆとりが欲しいとのことで公差幅を狭めつつ、少し引き上げました。

200mmを超える大径パイプの内径加工はクランプ・アンクランプだけで歪が発生して公差内に収めるのが厳しい加工です。

まして切削抵抗も大きいため、並みのクランプではワークが飛んで行ってしまいます。

見た目よりも難しい加工ですが、職人がキッチリと要求に応えた加工でお客様に満足して頂きました。

 

巨大タンク加工

東芝BTDで巨大なタンクの回転軸ハウジングの加工です。

全体はお見せできませんが、軽トラサイズのタンクの周りに付いているハウジング部分を加工しました。

 

テーブルごと回転させることで、反対側の加工面との同芯度もバッチリです。

機上計測ですが、タッチセンサーで0.03mm程度には収まりました。

 

加工そのものだけではなく、写真の様に従業員(若手もベテランも)協力し合って段取りを行います。

なにより重要なのはタンク下についている治具です。

今回はこのタンクを請け負った製缶屋さんが頭をかなり悩ませて作ってくれました。

できあがりは流石の一言。熱歪みを見事に制御して作られた治具は段取りを大幅に楽にしてくれました。

マシニングの切削水タンク清掃

久々に切削水タンクを清掃しました。

理由は切削水の劣化と、新しい種類に切り替えるため。

タンクを引き出してすべての切削水を抜き取ります。

が、タンクを2人がかりで引きずり出し、チップコンベアをクレーンで外し、カバーを取ってみると中にはとんでもない量のヘドロが・・・

 

このヘドロ、細かい切粉や潤滑油がバクテリアとカクテルされて合成された激臭爆弾

ウチの1歳の倅のオムツより遙かに臭いブツを一生懸命掻き出して掃除

最後にタンクごと水洗いして完了!

新しい切削水を大量投入して午後から仕事再開となりました。

もっとこまめに清掃すれば激臭爆弾までいかないんですけどね・・・

シカルの切粉はエグい

手に持っているのは社内で行っているシカル加工の切粉です。

ちょっとした大根ぐらいあります。

左の、ちょこっと写っているのが通常のフライス加工の切粉です。

どれぐらいエグい大きさかわかっていただけますでしょうか

フライスより早く、深く、歪みも少なく、ごっそり鉄を削るシカル加工の凄さ

問題はこの切粉を出すには相当な熟練の腕が必要ということ。

最近、特にシカル加工、プレーナー加工の新規問い合わせを頂きます。

「頼んでいたシカル屋さんが廃業で・・・」「シカル職人が高齢化で・・・」

といった内容のお見積り依頼が週に2~3件は頂きます。

ありがたい話ですので、対応可能な限り値段等もがんばりますが、

廃業されるシカル屋さんに出している仕事というのが本当に安い価格でされていることが多く、毎度毎度びっくりします。

人件費や材料代、消耗品費まで高騰し続ける現状では対応が難しいケースも多くお断りせざるを得ない事も多々あります。

そんな中で、シカル加工にマシニングセンターでの加工(穴あけなど)が合わさったケースでは上手くマッチングすることが多くあります。

シカル屋からマシニング屋に出していた輸送コストや工程ストップリスク、納期管理の点で当社の  “あわせ技”  にメリットを見出したお客様がいらっしゃいます。

「価格」は確かに大切な要素ですが、それ以外の大切な要素についてもご相談頂ければと思います。

 

 

 

深溝加工

100ミリ程度の若干深い溝の加工です。

無垢の状態から削りました。

高送りカッターで粗加工し、エンドミル仕上げです。

近年の高送りカッターの進歩は凄まじく、つい最近まで一回の加工深さ0.5mm 送りF4000程度だったものが、スピードそのままに加工深さ2mmも可能になっています。

まさに工具は日進月歩で、付いていくのが精いっぱいです。

JIMTOFなどの大型展示会が軒並み中止されているので、情報をキャッチするのも一苦労の毎日です。

定盤の加工

お客様から、溶接用の定盤が痛んできたので表面のフライス加工をご依頼頂きました。

幅1500mmと大型の定盤です。

なんとかトラックにすっぽり収まりました。

製缶加工の一例

当社で手掛ける製缶機械加工の一例です。(画像は一部隠しています)

1300mm程度の鉄板が貼られた架台(溶接構造の筐体)で、地面からの高さは700mm程度のものです。当社には溶接設備はありませんので、協力業者さんに溶接を行ってもらい、上面をフライス加工で平坦にしています。

ただフライス加工を行うだけではなかなか綺麗な加工面は得られません。

加工条件(刃物の種類や加工速度)を工夫するだけではなく、長年蓄積したノウハウが加工面に現れます。(もちろん企業秘密ですが・・・)

この写真の状態から、次はマシニングセンタによる穴あけ等の工程です。

これもただプログラムを組んで穴あけをすれば良いというものでなく、様々なノウハウを投入して完成を目指します。

当社の代表的な加工例の1つです。

新治具製作の様子

横中ぐり盤で使用する新しい治具を製作しました。

治具とはワーク製作がより楽に、効率的に行えるようにする道具のことで、今回の総重量は1トンを軽く超えます。

欲しいと思ったものをどうすれば使いやすいか、効率的かを慎重に検討して製作していきます。

多品種少量生産の弊社では様々な治具を揃える必要があります。

確定されたワーク専用治具もありますが、ほとんどが汎用的で、かつ各種組み合わせが可能な治具を揃えています。

同業社さんが見に来られたあと、その会社で殆ど同じものが作られていたことも・・・

別に隠すような技術でも無いので構いませんが、要は実行に移すかどうかだけだと思います。

これからも「欲しい」と思ったものはどんどん作っていきたいと思います。

ただ問題は置き場所が・・・